視野検査のない検診日は気持ちが軽い。
診察を受け、目薬をもらうだけなので
時間も短くて済むのである。
 
やってくるのは緑内障の患者さんばかりだ。
男性も女性も、年配の方から若い人まで
今回も待合室にはたくさんの患者さんであふれていた。
私も長いこと通院を続けているが
それでも白杖の患者さんを見かけることはまずない。
 
けれど今回は、女性に付き添われた年配男性がいた。
「はい、ここに座って待っててね。
後ろに背当てがあるから寄りかかって大丈夫よ。
右側は人が通るから気をつけてね」
女性に言われる通りにする男性。
待合室の患者さんたちは皆、注目していた。
それぞれに思うところがあるだろう。
 
今回の眼圧は両目共に「14」。
いつもと変わらない数値だが、十分とは言えない。
角膜の傷は、右目はすっかり綺麗になったが
左目にはまだ少しあるそうだ。
それからデータを見た先生は言った。
「上がいくら黒くなっても、下に来なきゃ手術はしないよ」
 
ここまで来れば、先生も改めて言うことはなく
私も特に訊きたいことはない。
今回もいつもと同じく3分ほどで診察は終わった。
次はまた3ヶ月後、大嫌いな視野検査だ。
欠損が下に出ていればいよいよ手術だろう。